台湾衛福部が発表している「国民健康栄養調査2017-2020」(2022年5月)によると、国民の約8割が野菜不足で、高齢者はサルコペニアの傾向があることがわかりました。
厚労省は「健康日本21」のなかで、 1日に必要な野菜摂取量は 350gとしているものの、現状平均摂取量は 280g程度で、成人の 7 割が目標を達成できていません。WHOは、一日400g以上でメタボリックシンドロームを予防できるとしていて、台湾政府の掲げる摂取目標「天天五蔬果(三份蔬菜與兩份水果)」を概算すると、その野菜摂取量は約300~500gになります。
最近の研究では、野菜不足と、脳血管障害、心疾患、がん、メタボリックシンドロームや糖尿病性腎症などの慢性疾患の他に、認知機能や認知症との関連も示されています。
また、緑黄色野菜に多く含まれているカロテノイドの摂取不足は、下半身の筋力低下と相関していて、階段の昇降や長距離歩行が困難な人に多くみられる、という報告もあります。
上記の「国民健康栄養調査」と、アジア人のサルコペニア診断基準の一つである「下腿周囲長」と照らしてみると、台湾の高齢者の2割以上に筋横断面積の減少がみられ、75歳以上では約3割と増加しているのがわかりました。
台湾は急速なスピードで高齢社会に突入しつつあり、サルコペニアを予防する意味でも、バランスの取れた食生活は、今後も大きな課題です。
来週9月3日は台湾カゴメの長田哲董事長と、ジャーナリストの野嶋剛顧問の講演、野菜摂取量を非侵襲的に測定できる「ベジチェック」体験も予定しています。どうぞ奮ってご参加ください。
早稲田大学&大学院で医療人類学修了、姉妹校の高雄医学大学医学部編入、医師免許取得後、台南の医学センターで研修を終え、消化器内科フェロー、チーフレジデント。台南出身の妻と娘の三人暮らし。早大時ヒマラヤ未踏峰初登頂(6,650m)を果たすが、登山パートナーの死を契機に医学の道へ。日本の鍼灸国家資格も取得済で東西の医療に通じた総合診療、消化器内科医を目指す。
コメント