台湾の本音 

野嶋剛顧問の最新作「台湾の本音:”隣国を基礎から理解する”」(光文社新書、2023年12月販売)を読了し、その深い洞察に感銘を受けました。この著作は台湾に関する6つの重要な問いに焦点を当てており、台湾の「国家性」、「歴史」、中国に対する見方、台湾アイデンティティの成立、親日感情、そして「台湾有事」の可能性について掘り下げています。

特に、「台湾有事」の章では、昨年のナンシー・ペロシ米下院議長の訪台を例に取り、台湾現地の人々と世界各国の関心を浮き彫りにしています。本書は、ペロシ訪台の報道とその政治的背景を深く分析し、台湾が直面する複雑な国際政治のリアリティを示しています。

さらに、本書では野嶋氏が9月の本協会での講演で指摘したように、台湾の人々は国際的な緊張にもかかわらず、日常生活を送っており、政治家が「統一/独立」の尺度で発言することに対する疑問を提起しています。野嶋氏は、現状維持を求める台湾社会のバランス感覚を巧みに捉え、「台湾の本音」を鮮明に伝えています。

この新書には、野嶋氏の他の著書、「イラク戦争従軍記」(2003年)や「タイワニーズ 故郷喪失者の物語」、「なぜ台湾は新型コロナウイルスを防げたのか」、「香港とは何か」、「新中国論 台湾・香港と習近平体制」などとの関連性も見て取れます。これらの著書を通じて、野嶋氏は戦争の現実、人間の脆弱さ、そして地政学的な複雑さをリアルに伝えています。

来月の台湾総統選挙を控え、さらに深い理解を求める読者には、この新書をぜひお勧めします。来年も引き続き、野嶋氏の鋭い洞察と表現力に注目していきたいと思います。良いお年をお迎えください。

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