フォルモサに吹く風

大洞さんより歴史小説『フォルモサに吹く風;オランダ人、シラヤ人と鄭成功の物語』(東方書店)をご恵贈いただきました。ありがとうございました。

吹向福爾摩沙的風;荷蘭人、西拉雅人和鄭成功的故事

翻訳本は、個人名や地名に違和感が生じてしまうことがありますが、最初に、389ページの「訳者解説」を先に読んでおくと、本文に出てくる呼称が何を指しているのか、が分かりやすくなり、安心して読み進めることができます。
前半は、オランダ人と台湾原住民族とのやり取り、後半は鄭成功の物語が中心です。交戦の場面は、手に汗握る白熱した様子が鮮明に描かれていて、ハラハラ・ドキドキさせられ、オランダ人のマリアがフォルモサのマリアになる過程は、胸にこみ上げるものがあります。
最後の、鄭成功の死因については諸説あるものの、原作者である陳耀昌医師の考察が含まれていて、非常に読み応えがあります。これらの医学的考察と結びつく社会的背景や歴史人類学的知見は、国立台南女子高級中学の横にある延平郡王祠の中にも、その一部が記されています。ここは日本統治時代に、台湾ではじめて建てられた神社(開山神社)としても知られていて、本書を読んだあと、ここを巡るのも面白いかもしれません(日本語解説あり/2022年9月)。

延平郡王祠内にあるガジュマル

大洞さんは本書以外にも『君の心に刻んだ名前』(幻冬舎)を翻訳されています。

本協会理事の力作、ぜひ、お手に取ってご覧くださいませ。

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