
台南では、新型コロナウイルス陽性反応の報告者数が減少傾向にあるものの、集中治療室(ICU)に入室する重症患者さんは、連日、救急や他院から数多く運ばれてきています。私は初期研修を終えてから、内科に進み、日中業務後の当直は、ほとんどICUで行っています。特にコロナ専門ICUは、隔離が厳重で(上の写真は入室前で、更にアイシールド、防護服着用)、患者さんはご家族との直接面会ができないため、タブレットや電話などを使って、会話をしてもらっています。これらの措置は、患者さんの近くにいる大切な家族や友人を守る反面、孤独感や心理的孤立感を抱きやすくなります。隔離されている人たけでなく、海外に住んでいる人にとっては、言葉や文化が違うだけでストレスがたまりやすく、より強い孤立感を感じやすいシチュエーションが多い、と思われます。私自身、約2年前に母親が亡くなる際、日本で直接会うことができず、インターネットを通じてやりとりをしました。
京都と台南をつなぐオリジナル曲
インターネットを取り巻く環境の変化は凄まじいスピードで変化していて、メール、LINE、SNSなどで連絡を取り合い、孤立や孤独に向き合うなど、選択肢が増えています。台南在住の日本人でシンガー・ソングライターの山元サトシさん(京都出身)がYoutubeにアップロードされた新曲「有妳的台南 -君のいる街」には、前述したような苦境に立たされている人たちに寄り添ったメッセージが込められています。山元さんの御承諾を得て、以下に転載します。
「台南是個適於人們做夢、幹活、戀愛、結婚悠然過日子的好地方」 文學家-葉石濤
我是以這樣的角度寫了這首歌
雖然這首歌內容是連結台南跟日本京都兩地
但其實也想獻給因為這次疫情而分開的人們
想告訴大家「你們並不孤單」
有很多人跟你一樣一起奮鬥著
今回リリースする作品は初めて中国語で制作した作品です。
本作のテーマは”台南と京都”
そして、この曲には
新型肺炎によって大切な人と離れ離れになってしまった方達への想いが込められています。
台湾で過ごしたこの2年半の中で、
じっくり今と向き合いながら書き上げました。
協力してくれた全ての皆さんに感謝です。
この曲が皆さんの心に少しでも寄り添えますように。
そしてあなたの隣にいる大切な人を、
もっと大切に思ってくれたら嬉しいです。
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作詞Lyric 林嘉慶 山元聰
作曲Composer 山元聰
編曲Arrangement 山元聰
製作Produce otohana records
攝影師Cameraman 陳欣琳 森新一

私が山元さんからこの曲を聞かせてもらったのは、今から約1年以上前のことで、歌詞・メロディともに、今と変わらないくらい完成されていました。その後、山元さんは、人気テレビ番組「台湾No.1」の歌唱バトルで好成績を収め、日台交流協会主催の台北101横でのコンサートや台南にある大型デパート「夢時代」でのライブ等など、精力的に活動されています(武聖夜市での動画は再生数170万回以上)。MVの最後に引用されている文学者、葉石濤氏の「夢を抱き、働き、恋をし、そして愛する人とゆったり暮らす、台南という場所はそんな場所なんです」の言葉通り、山元さんの台南への想いが強いからこそ、この曲が出来た、と私は思っています。離れ離れになった人たちや台南と京都をつなぐ温かみに溢れた新曲、おすすめです。

早稲田大学&大学院で医療人類学修了、姉妹校の高雄医学大学医学部編入、医師免許取得後、台南の医学センターで研修を終え、消化器内科フェロー、チーフレジデント。台南出身の妻と娘の三人暮らし。早大時ヒマラヤ未踏峰初登頂(6,650m)を果たすが、登山パートナーの死を契機に医学の道へ。日本の鍼灸国家資格も取得済で東西の医療に通じた総合診療、消化器内科医を目指す。
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