台湾は急激な人口減少にどう対応していくのか

2021年台湾の人口は2337万5314人となり前年に比べて18.5万人人口が減少しています。人口減少は二年連続となっています。出生数は15万3820人、なお結婚数は11万4606組で過去最少を更新しています。

台湾の少子高齢化は日本より遅れて始まりましたが、その進行速度は日本より早く、内政部の統計によると2040年には約120万人減少の2218万(中間値)となり、2070年には中間値でも1581万人と現在に比べ749万人減少し、現在との比較では32%減少となっています。なお現在の状況が続くと中間値以下となる可能性は低くありません。

さらに問題なのは少子高齢化により労働人口が極端に減少することです。2020年の労働人口は1683万人でしたが、2040年には355万人減の1328万、減少率は約21%となります。そして特に減少が激しいのが15-44歳で、このままではサービス業、観光業、飲食業、製造業などの人手不足は激烈になるのは間違いなく、台湾経済の生命線である半導体産業でも人材の確保というのは容易ではなくなります。台湾が日本と違うのは25-44歳までの女性の社会進出が80%以上である一方で、45歳から急激に就業率が低下していることです。政府は女性の再就職支援に力を入れている一方で労働部による「労工生活及就業状況調査2021」によると55歳で定年を希望する人が前年より増えているなど、早期退職願望も高いため再就職に対するニーズが高いとは言えません。そのようなことから退職年齢を引き上げ労働力を確保するのは簡単ではなく、新たな労働力を生み出す潜在的余力が少ない構造的問題があるといえます。

また移民や外国人労働者の積極的な誘致についても主な供給国であるベトナムやインドネシアの経済発展は目覚ましく、今後は海外への出稼ぎ希望者が減少していくとも考えられています、また同じく人材不足に苦しむ日本や韓国等多くの国々との誘致競争も避けられず、人口減少による経済衰退は出稼ぎ先としての魅力も失いかねず、台湾がおかれている状況はますます厳しくなっていきます。なお台湾の国家安全保障上過度に移民や外国人に依存した経済状況を作ることができないことも忘れてはなりません。

少子化対策はどのような政策を行っても短期的に解決するのは難しい一方で迅速にダイナミックな長期的政策を開始しなければ、この衰退は勢いを増し非常に厳しい状況に陥ってしまいます。高齢化社会はシルバー民主主義を誘発し政治家は票になる高齢者福祉政策に力点を置きがちですが、今台湾政府には大胆な少子化対策を実行することが求められています。

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