台南在住で、私達の仲間である大洞さん翻訳の『君の心に刻んだ名前』(幻冬舎)が、2月24日に発売開始されました。同性愛をテーマに、35年前の台湾社会、高校生活、若者のカルチャーについても多くを知ることができる内容となっています。とても読みやすく、主人公たちの物語が感動的で、目頭が熱くなりました。
私がはじめて同性愛の患者さんを受け持ったのは研修時の感染科で、患者さんの口腔内に付着した白苔からガンジダ感染症を疑い、検査をしたところエイズ感染が判明しました。腸管は口腔や膣と比べて粘膜層が薄いため傷つきやすく、性行為による感染リスクが高まると考えられています。ちなみに、台灣はアジアで初めて同性結婚を合法化しました(2019年5月24日)。
また、先週のBBCニュースによると、臍帯血由来の幹細胞を利用した治療によってエイズが寛解されたそうです。治療法はまだ確立されていないとはいえ、私はこのような報道を目にする度に、その患者さんのことを思い出します。
『君の心に刻んだ名前』は台灣で映画化され、クラウド・ルーが歌う主題歌「刻在我心底的名字」は日本人歌手によってもカバーされています。どれも素晴らしいですが、私のお気に入りは山元サトシさんの日本語歌詞MIXバージョンです。香港歌手の吳業坤さんとコラボしています。映像は台南の保安駅や神農街で撮影されたもので、優しい歌声にじんわりと包み込まれます。ぜひご覧ください!
早稲田大学&大学院で医療人類学修了、姉妹校の高雄医学大学医学部編入、医師免許取得後、台南の医学センターで研修を終え、消化器内科フェロー、チーフレジデント。台南出身の妻と娘の三人暮らし。早大時ヒマラヤ未踏峰初登頂(6,650m)を果たすが、登山パートナーの死を契機に医学の道へ。日本の鍼灸国家資格も取得済で東西の医療に通じた総合診療、消化器内科医を目指す。
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