2021年認知症ケア国際研究会議

本日『2021年認知症ケア国際研究会議』が奇美病院国際会議場で行われ、台南市市政府社会局局長、台湾認知症協会事務局長、カルフォルニア州カイザーフォンタナメディカルセンター老年医学科主任、悠翔会佐々木淳理事長(首都圏最大の在宅医療機関)と本協会顧問の一青妙先生等のゲストスピーカーから、認知症とコミュニティケアに関するご講演をしていただきました。

一青妙先生は歯科医師であるとともに、作家、お芝居や観光大使などを兼業されていて、台南に関する著書もたくさん出版されています。

一青妙さんオフィシャルブログ https://ameblo.jp/hitototae/

「食べることの重要性〜高齢者への訪問歯科診療の経験から」というタイトルで、日本の超高齢社会、要介護者の歯科治療ニーズ、歯周病とコロナや食べる楽しみなどを、オンライン通じて一青先生からお話して頂きました。

日本は1970年に「高齢化社会」になり、その後も高齢化率は急激に上昇し、1994年に「高齢社会」、2007年に「超高齢社会」へと突入しました。2040年には65歳以上の高齢者は3716万人になり、全人口の35.3%にのぼるだろうと推計されています(総務省資料)。

また、認知症高齢者に関しては、認知症のない高齢者と比べ、専門的口腔ケア、う蝕治療、歯周治療の必要性がそれぞれ2.5倍、5.6倍、15.9倍高いというデータもあります(Morisita S, et al. Geriatr Gerontol Int. 16(8):956-62 2016)。歯周病は全身症状を及ぼすため早期発見と正確な診断そして必要な際の適切な治療が求められています。

さらに、一青先生が行っている介護老人保健施設への歯科訪問診療経験をシェアして頂き、患者さんとのやり取り、インプラントや入れ歯治療などの様子を教えてもらいました。

会場で最も関心が高かったのは「施設内の食事」で、高齢者は基礎代謝が下がり、体重の増加を気にする人も増え、油っこいものを避けるなどの偏食が続くと、動物性タンパク質の低下や脂質不足といった栄養失調に陥りやすいらしいです。そこで、一青先生の診療先施設では、言語聴覚士が利用者の嚥下機能を評価し、主食や副食にとろみをつけ食べやすくした上で、栄養バランスを整えるなどのチーム医療が実践されているそうです。

最後に、一般的には「老人に入れ歯」という認識が当たり前ですが、口腔ケアをしっかり行っていれば何歳になっても健康な歯は維持できる、とのこと。食べる楽しみを失わないよう、日頃からうがい歯磨きや歯科治療を適切に受けることが大事です。

講演後の質疑応答では「碗粿(臺灣話: uánn-kué)を認知症の患者さんが食べたいと言ったときに、より食べやすくするいいアイデアはないか」など、台湾の食文化に関する質問がでて、会場がとても親近感のある和やかな雰囲気に包まれました。

追記:一青先生からその後メールで「サバヒー粥やとろみのついた田鰻など」台湾には独自の介護食に近いものがありますね、とのご連絡を頂きました。

とても学びの多い講演会になりました。どうもありがとうございました!

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