欧州や北米では異なる種類の新型コロナワクチンを使用する混合接種の試みが行われていましたが、衛生福利部疾病管制署(Centers for Disease Control, Ministry of Health and Welfare)本日発表によると、台湾でもアストラゼネカ(第一回目)+モデルナ(第二回目)の混合接種が始まります。当該専門隔離患者をケアする医療従事者で、アストラゼネカ接種一回目から10周以上経っている人が対象になっています。WHOは6月初頭にアストラゼネカ+ファイザーの接種可能としながらも、混合接種の安全性に懸念を抱いていると示していました。混合接種の研究は世界各国で進行しており、先月14日にはNEJM(New England Journal of Medicine)という権威ある医学雑誌から、アストラゼネカ+アストラゼネカ(ChAdOx1/ChAdOx1)とアストラゼネカ+モデルナ(ChAdOx1/mRNA-1273)を比較した際、中和抗体の差は後者の方が10倍以上多いという結果が出されました。他にもイギリス、スイス、スペイン、デンマークや韓国など、混合接種のほうがアストラゼネカ+アストラゼネカよりも効果があるという報告があります。台湾大学でも同様な調査が行われています。混合接種の副作用については、発熱、悪寒、頭痛や筋肉痛などが挙げられていますが、統計上有意とは言えないとされています(下記リンク参照)。
私自身は3月末と5月末に合計二回アストラゼネカの接種を済ませているので、この対象には含まれませんが、今後の混合接種(国産ワクチンも含め)の進展に注目しています。
参考資料リンク:
Johan Normark, M.D., Ph.D.et al. Heterologous ChAdOx1 nCoV-19 and mRNA-1273 Vaccination,14 July 2021
早稲田大学&大学院で医療人類学修了、姉妹校の高雄医学大学医学部編入、医師免許取得後、台南の医学センターで研修を終え、消化器内科フェロー、チーフレジデント。台南出身の妻と娘の三人暮らし。早大時ヒマラヤ未踏峰初登頂(6,650m)を果たすが、登山パートナーの死を契機に医学の道へ。日本の鍼灸国家資格も取得済で東西の医療に通じた総合診療、消化器内科医を目指す。
コメント