台湾政府が、新型コロナウイルスにより経済的な影響を受けた人々に対して昨年から行っている支援制度「紓困」。自営業者、正規労働者、非正規労働者など、自身の職業上の立場に沿って申請することで、給付金や低利子での融資を受けることができます。
今まで外国籍の人は、たとえ長年納税しながら台湾で暮らしている人でも申請対象から除外されていました。それが今年6月24日より、「永久居留証」を保有する外国人も申請可能になりました!
実はこの背後には、台南市日本人協会の野崎孝男理事長と、本協会名誉理事の郭国文立法委員、及び黄偉哲台南市長による中央政府への陳情と提言があったのです。
・参考記事1「不要廣發現金!郭國文喊紓困漏這3類人 蘇貞昌給答案了」
https://www.setn.com/News.aspx?NewsID=950624
・参考記事2「紓困4.0納入外國人 日籍野崎孝男感謝黃偉哲對在台南外僑的照顧」
https://www.tainan.gov.tw/News_Content.aspx?n=13370&s=7780097
筆者はたまたま今年4月に永久居留証を取得しており、仕事にも影響を受けているところでしたので、申請してみることにしました。現在申請を受け付けている「紓困4.0」には対象者の業種や状況の別に応じて、様々なプランがあり、管轄も労働部(「部」は日本でいう省)、経済部、教育部、文化部などと分かれています。主に文筆、教育、音楽関係の仕事をしている筆者は、文化部が管轄する「藝文紓困4.0補助」が適当かと思われました。
・文化部公式サイト
https://www.moc.gov.tw/
これは「芸術」や「出版」に関わる仕事をしている個人および事業者を対象にしたものです。念のため文化部の問い合わせ窓口(02-8512-6000)にも助言を求め、やはりここがふさわしいように思えたので、オンライン申請をすることにしました。
結論を申しますと、6月の末に申請し、諦めかけていた7月12日になって、審査に通った旨の通知がメールで届き、同日に銀行口座に3万元が振り込まれました。上に挙げた方々や台湾政府には誠に感謝の至りです。
なお自然人(個人)による「藝文紓困4.0」申請は、初め期限が7月12日までとなっていましたが、これが7月26日までに延長されました。ですので、もしかしたらどなたかのお役に立つことがあるかもと思い、手順を以下に記しておきます。
【オンライン申請の流れ】
まず、上記サイトのトップページ中央にある「文化藝術事業防疫及紓困振興專區」ボタンをクリックし、次のページの「線上申辦」をクリック。更に次のページの「紓困4.0補助線上申請專區」をクリックし、再度次のページの「線上申請」をクリック。
似たような文字が続いて、無限ループかと錯覚しそうになりますが、次がログイン画面となり、まず「加入會員」ボタン→「自然人」ボタンと進んでログイン用アカウント、パスワード、氏名、電話番号などの登録を行います。
なお身分証明書の番号を入力する欄にはわざわざ「本國籍請填寫身分證,外籍人士請填寫居留證號碼」と注意書きが書いてあり、外国人にも対応済みであることが示されています。
その後、先ほどのログイン画面に戻り、登録したアカウントでログイン。申請フォームが出てきます。必要情報の入力のほか、居留証の表面と裏面の画像、手持ちの預金通帳の画像などもアップロードする必要があります。
その中に「自然人受委託或受邀請參與藝文活動證明書」という書類を提出する欄があり、恐らくこれが審査の結果にかなり関わってくると思われます。
・上記證明書のダウンロード(リンク先PDFの5ページ目となります)
https://mocfile.moc.gov.tw/files/202106/6bd413d8-af2d-422c-b81f-749b829be3b8.pdf
これは出演予定だったイベントがキャンセルになるなどして金銭的な損失を被ったことを、そのイベントの責任者のサイン・捺印を添えて証明する書類です。筆者の場合、小学生相手の日本語レッスンや、シーサーDIYワークショップが中止になったことを、主催者に頼んで証明していただきました。
ただ個人的な予想ですが、たとえば音楽その他のアートイベントは現在そもそも企画さえされていないので、この書類が用意できないミュージシャンやアーティストもゴマンといるはずです。この書類は必須ではなく、「主要工作內容」や「受疫情衝擊情形說明 (コロナの影響を受けた状況の説明)」などの欄にてしっかりと自分の経歴や最近の事情を伝えれば、申請が通るケースも多いのではないかと想像されます。
以上長くなりましたが、「藝文紓困4.0」申請と受領のレポートでした。
(だいどうあつし) 作家、翻訳家、三線弾き。1984年東京生まれ。「人がより自然に、シンプルに、活き活きと暮らせる町」を求めて、2012年より台南在住。日本蕎麦屋「洞蕎麥」を5年間経営後、翻訳事務所「鶴恩翻譯社」を運営。日本語著書『台湾環島 南風のスケッチ』、中国語著書『遊步台南』、共著『旅する台湾 屏東』、翻訳小説『フォルモサに吹く風』『君の心に刻んだ名前』『台湾 和製マジョリカタイルの記憶』。
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