【月一コラム みんなの台南生活】(1)台南サボテンライフ

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台南サボテンライフ
文/名嘉和音

台南市日本人協会の会員より、毎月1回、台南生活コラムをお送りいたします。

台南生活の中で、私が一番楽しんでいることはサボテンのお世話だ。自分の部屋のベランダで50個以上のサボテンを育てている。時には休日の丸一日を費やして、鉢や土の入れ替えをしたり、受粉をさせたりすることもあるくらい、私はサボテンが大好き。土日は台南市内最大の花市場・南門花市まで出かけて、売られているサボテンを観賞しながら散歩するのが私の一つのルーティンになっている。そこでたまに居合わせたおじいちゃん、おばあちゃん達と、お茶を飲みながらおしゃべりするのも楽しい。

私はもともと園芸が大好きで、実家でもサボテン科の植物を育てたりもしていた。私が台南でサボテンと出会ったのは、仲の良い台湾人の友達が育てていたことがきっかけ。暖かい気候の台南では植物がよく育つ。特にCAM植物(サボテンやパイナップル等)は、地元沖縄で育てていたときよりも成長がとても早い。そして台湾の人たちも植物を育てることが大好き。週末の花市場は多くの人たちで賑わっている。台南現地の方々と共通の趣味「サボテン」を持っている私は花市場で色んな方々から声をかけられる。年配の方が多く、皆さん私を自分の孫のように思って話してくれるので、すごく親近感を感じている。

台湾で一番人気のサボテンの種類は緋牡丹錦。球状のまん丸くて小さなサボテン。サボテンの緑色の中に鮮やかなオレンジやピンク、黄色の斑が混ざっていて、すごく綺麗な模様が特徴である。色のある部分のことを錦と呼び、この美しい錦の遺伝子を持つ緋牡丹たちを受粉させて、また新しい子を育てるということが楽しくて仕方がない。花市場の店主さんとこのサボテンの話題でいつも話が尽きない。台湾には園芸が好きな方が多く、皆さん興味津々で店主さんのお話や植物学者の方の専門的な話も聞いたりしているほど、すごく熱心。そして花市場のコミュニティの人同士の仲も良く、たまに植木鉢を譲ったりもしてくれる(笑)

私は大学生で、普段は学業で忙しい日々を過ごしている。でも、大学の外に出て台南の街中に入ると、学校での多忙な生活を忘れさせられるほどゆっくりとした時間が流れている。私の留学生活は楽しいことばかりではなく、辛いことももちろん多い。特に大学1年の頃は、言語や文化、新しい環境に慣れないことが多くて沢山苦労していた。時には学業面でのプレッシャーやストレスを感じることもあった。そんな時はいつも花市場へ出かけ、心を落ち着かせている。部屋にあるサボテンを眺めたり、花市場で現地の方々とおしゃべりをしたりする時間は、私にとってかけがえのない大切な一時だ。台南のサボテン・コミュニティで出会う現地の方々から、いつも沢山の元気なエネルギーをもらっている。この元気なエネルギーに、今までずっと助けられてきた。

台南は人情味のある温かい場所。天気も良く、サボテンもよく育つので、いつも心が晴れ晴れする。台南のおじいちゃん、おばあちゃん達はとても元気で親切。台南にも私の地元・沖縄の「いちゃりばちょーでー(一度出会えば皆兄弟の意味)」の精神があり、たまたま居合わせただけに過ぎない人かもしれないのに、皆さんとても親切に愛情を持って接してくださる。どこか自分の故郷と似ているような気がしていて、親近感を感じる。人情味が溢れる街、台南。私はそんな温かい台南がとても大好きだ。

文/名嘉和音(なか かずね)
沖縄県出身。旅行で台南を訪れた際に台南の魅力に心を惹かれ、半年間の語学留学を経て国立成功大学へ進学。現在、同大学工学部環境工学科に在籍中。

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