突然の一斉休校と自主学習(その三)

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台湾の学校が迅速にオンライン化できた3つの理由

前回の「その二」で、一斉休校後の学校・先生の対応が、一週目と二週目では非常に違っていたということを書きました。なぜそのような迅速な対応が可能だったのか。その理由を、今回は探っていきたいと思います。

ありきたりな要因を探せば、もちろん、IT立国台湾のネット普及率、回線速度の速さ、学校のIT設備の充実度などを挙げることができるでしょう。また、教育部がかなり早い時期から「停課不停學」(休校しても学びは止めるな)というスローガンを掲げ、オンライン授業のあり方の指針を示し、自治体や学校に指導してきたこともかなり大きいと思われます。
(参照サイト:「公私協線上教學便利包」)

ですが、上記の理由以外に、もっと何か理由があるはずだと私は思ったのです。それで、あれこれ考えてみたところ、以下の3つに行き着きました。(もちろん、学校や教師によってかなり差はあるかもしれませんが。)

一つ目。教師も保護者もITスキルが高い

お年寄りでも難なくスマホを使いなす台湾です。先生たちも保護者もとてもITスキルが高く、FacebookでもLINEでも、ササッと使ってオンライン授業に対応しています。

二つ目。普段からSNSで繋がっている

台湾の学校では、担任の先生と保護者が普段からSNSで繋がっており、クラスのLINEグループ、Facebookページもよく使われています。そのため、オンライン授業に伴いそれらがすぐ活用されたわけです。また、台湾社会はあまり「個人情報」や「コンプライアンス」にうるさくないこともプラスに作用しているに違いないと勝手に思っています。

三つ目。完璧主義ではない

日本人には完璧主義者が多いですが、台湾人はもっとおおらか。できるところからやっていけばいいじゃん、というある程度のユルさが、台湾のスピードの秘訣なのだと思います。日本のように、完璧さや不備の改善を求めて会議ばかりになったり、あれこれと延々悩んだりしていたら、改善のスピード感は生まれないでしょう。走りながら考えるのが台湾流です。また、保護者の方も、「先生も大変だろう」と、ある程度のユルさを受け入れているように見えます。(もちろん、妻の話では台湾にも恐ろしい「モンペ」はいるそうですが。)

以上の3点が、スピーディな変化を生み出したのだと思っています。学校や教師だけでなく、保護者も大きく関係してくるのがミソでしょうか。

さて余談になりますが、先日ツイッターを見ていたら、こんな投稿を見かけました。隣の市(あえて伏せますね)にお住まいの日本人の方のツイートで、「自分の市のオンライン教材はダメダメだが、台南市の教材は非常によくできている。すばらしい。」というような内容でした。へえ、自治体によってそんなに差があるのか、と思うと同時に、台南市民として誇らしく思いました。

おっと、もう一つ余談です。長男の通う中学校は、ついに三年生の授業を取りやめたそうです。賢明な判断だと思います。高校受験が終わったばかりでやる気ゼロの子たちに無理してオンライン授業をやるよりは、先生方の時間と精力を一、二年生に注いだ方が当然合理的ですよね(笑)。

次回の「その四」では、「オンライン授業の思わぬ収穫」についてお話したいと思います。

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