【月一コラム みんなの台南生活】(7)環島ツーリング

台南市日本人協会の会員より、毎月1回、台南生活コラムをお送りいたします。

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環島ツーリング
文/南郷成民

一昨年(2020年)1月、総統選挙の投票のために台湾に来た折、親戚との会食中、今台湾の若者の間で流行っている「一生のうちに成し遂げるべきこと」を教えられた。曰く、「玉山登頂」、「日月潭旅遊」、そして「環島ツーリング」の3つ。このうち、日月潭は50年前に母の春節里帰りにくっついて初めて台湾に来た時に訪れているので「台北マラソン完走」に替えて、その3つを留学中に成し遂げる、とその場で宣言してしまった。私の直情径行の癖は何歳になっても治らない。

さて、9日間かかる環島ツーリングは各学期の間の2週間の休みを利用するほかないのだが、ネットで日程を調べてもうまく合致するものがない。仕方なく、3月の休みに花蓮から台東までの3日間のツーリングに参加。ところが、これが素晴らしかった。GIANT社の完璧なサポート、心優しい参加者たち、夢のような3日間がアッと言う間に過ぎた。

もう何が何でも環島ツーリングに参加したいとの思いは止み難く、頻繁に網站(ウェブサイト)をチェックしていると、出てきた出てきた、台北発着6月3日から11日までの企画、即報名(申し込み)。6月2日に期末考(期末テスト)を終えてすぐ高鐵で台北に移動。3日の朝、松山火車站(駅)から念願の環島ツーリングは始まった。

9日間苦楽を共にするのは男性8人、女性6人の総勢14人。ご夫婦2組、父子1組で大方が日頃から自転車に乗り慣れている玄人。素人は男では親子参加の息子の大学生と私、女性では20代の若手李、陳、柯3小姐(シャオジエ)の計5人。

行程は次の通り。
  1日目:台北~新竹91km。
  2日目:新竹~台中100km。
  3日目:台中~嘉義95km。
  4日目:嘉義~高雄117km。
  5日目:高雄~恆春100km。
  6日目:恆春~知本115km。
  7日目:知本~瑞穂122km。
  8日目:瑞穂~礁溪83km。
  9日目:礁溪~台北83km。
しめて約900km。毎日100km平均で走る勘定なので体力の配分も何もない。毎日明日のことを考えずに全力投球で、ひたすら汗をかき、目一杯栄養補給し、ぐっすり眠る、ただそれだけ。

「金城武の樹」の前でポーズをとる筆者

先にも書いたようにGIANT社のサポートは本当に完璧。先頭に補給車、最後尾にメンテナンス車の2台の車。そして、若いライダーが参加者の状況を把握しつつ最適のスピードで先導し、殿(しんがり)をベテランライダーがフォローして皆が安心して走ることが出来る。補給車は道路状況をつぶさに先導ライダーに伝えるほか、水、水果(果物)、スナック、薬品類をたっぷり積んでライダーをサポート。メンテナンス車には予備の自転車と部品・工具を満載し、自転車を完璧な状態に保つ。ホテルは少し豪華すぎる程だったが、完璧な眠りを保証する。昼食・夕食は高蛋白のフルコース。

私は700cc入りの水筒を1日ほぼ5回転で、3.5lくらい水を飲み、その全てが汗として流れる。普段は小食の私も完走目指して必死で栄養補給した結果、9日間で58.9kgから61.3kgになってしまったという驚きの結果。

毎日出走前にコースの説明と走り方のコツのレクチャーがあり、そして日々上り坂下り坂を経験して少しずつライディング技術も身についていく。文字通りの「山場」が6日目。海抜455mの峠を越えるのだが、激しくアップダウンを繰り返すため、累積の高度は1000mを超えていた。3名は自力走行が叶わず電動アシスト車に乗り換えた。勿論、私は最後まで自力走行。我ながらよくやったと満足してその日は眠りについたのだが、充分に体力回復が出来なかったようで、翌7日目のほぼ平坦なコースが私には最も辛い日であった。

苦楽を共にした仲間の心の絆は太く、今も頻繁にグループラインで情報のやり取りが続いている。電動アシスト組だった陳小姐も自分の自転車を買った。7月30日にはその仲間達で台北一周60kmのツーリングも企画されている。私もいつかまた台湾に戻ってきて彼らとのツーリングを楽しみたいと願っている。皆様も是非環島ツーリングにご挑戦あれ!

文/南郷成民(なんごう せいみん)
旧姓・李。昭和31年、台北市出身の両親の下、岩手県釜石市で出生(満66歳)。昭和42年、日本国籍となり、南郷姓となる。現在、岩手県台湾同郷会・会長、全日本台湾連合会・監事、日本中華聯合総会常務代表、(株)大門・会長。2021年9月より成功大学華語中心にて中国語を学び、本年9月上旬帰国予定。妻和子との間に4男3女、孫12人(9月に13人目出生予定)。

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