皆様、台湾で警察の方のお世話になったことはおありでしょうか? 私大洞は何度もあります。といいましても悪いことをしたわけではなく、自分や身近な人が困った時に助けていただいたのです。
たとえば、あれは2016年冬のこと。日本の旅人ふたりと、古民家の宿「屎溝墘客廳」を営む蔡宗昇さんと楽しく台南の町を散歩しているとき、突然旅人Aさんが真っ青な顔で、「ケータイをさっきのタクシーに置いてきたかも」と言われました。蔡さんはすぐ警察廣播(ラジオ局)に電話してこの件を放送してくれるよう頼み、我々は近くの派出所に駆け込みました。
皆で信号の防犯カメラをたどり、タクシーを探します。林百貨前の交差点で、何時何分ごろに乗り込んで……警察の方はすぐに車を特定し、ナンバーを確認し、タクシー会社に連絡しました。そして翌日、事件発生から15時間も経たない内に、ケータイは無事派出所に届けられたのです!
その頃、持ち主Aさんは機上の人でした。蔡さんはケータイを受け取るやお連れさんのLINEに報告を入れ、Aさんは着陸してすぐそれを見て、涙を流して喜ばれたといいます。
台湾の警察の方々は、むろん個人差もあるでしょうが、人なつっこく、困っている人に力添えを惜しまない方が少なからずいます。私自身も台湾に来たばかりの頃、田舎町でバス停の場所がわからずに交番で聞いたら、なんとパトカーに乗せてバス停まで連れて行ってもらったりしたこともありました。皆様も何らかのアクシデントに遭遇した際は、気がねなく警察に相談なさってください。
(写真提供:蔡宗昇氏)
(だいどうあつし) 作家、翻訳家、三線弾き。1984年東京生まれ。「人がより自然に、シンプルに、活き活きと暮らせる町」を求めて、2012年より台南在住。日本蕎麦屋「洞蕎麥」を5年間経営後、翻訳事務所「鶴恩翻譯社」を運営。日本語著書『台湾環島 南風のスケッチ』、中国語著書『遊步台南』、共著『旅する台湾 屏東』、翻訳小説『フォルモサに吹く風』『君の心に刻んだ名前』『台湾 和製マジョリカタイルの記憶』。
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