台南のある高校が行ったウインタースクール(2/7-2/9)に参加した10代女性(高雄市在住)からコロナ陽性反応があったため、145人の濃厚接触者には隔離措置がとられています。学校や公共交通手段の感染拡大防止を優先して、足跡のあった関連施設の消毒も行われ、その高校は休校が発表されました(2/11、2/12)。自治体と民間が協力して、市中感染を防ぐよう迅速に対応する対策も、台灣のコロナ感染者が少ない成功要因として考えられています。
しかし、すべての感染者の接触歴を追跡するのは限界があります。上記のケースは2/3から喉の症状などを訴え、9日に親戚が感染確認された後、すぐ検査を受け、翌日に感染が確認されました。旧正月以前からの感染が考えられていますが、感染経路は未だ判明していません。
オミクロン変異株は致死率がインフルエンザよりも低いので、厳格な対策は不要だという声も聞かれますが、果たして本当にそうでしょうか。上記の政府発表プレスをみてもわかるように、コロナに関しては、濃厚接触者など幅広くPCR検査を行っているのに対して、インフルエンザは症状があって病院やクリニックなどに罹った人に対して、疑いがあれば検査をします(インフルエンザも同じようにインフルエンザ用PCR検査があります)。オミクロン変異株のほとんどは無症状か軽症ですから、医療機関を受診していない人も検査するか/しないかで、致死率を測る分母数に大きな開きがでてきます。
一方で、一日新規感染者が5万人ほどになった韓国では、3T(追跡、検査、治療)を軸とする「K防疫」が廃止され、在宅治療患者を集中監視群(60歳以上など)と一般監視群の患者に分類し、集中監視群の患者に限りモニタリングを行うことになりました。これも重症化しにくいオミクロン変異株の特徴をとらえた結果です。台灣もいずれそうなるかもしれません(追跡など廃止)が、現状は、台灣CDCより連日コロナ患者の足跡が発表され、その滞在時間&場所に一緒にいた人に対して保健所から検査要請が行われ、検査キットの配布がされています。
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早稲田大学&大学院で医療人類学修了、姉妹校の高雄医学大学医学部編入、医師免許取得後、台南の医学センターで研修を終え、消化器内科フェロー、チーフレジデント。台南出身の妻と娘の三人暮らし。早大時ヒマラヤ未踏峰初登頂(6,650m)を果たすが、登山パートナーの死を契機に医学の道へ。日本の鍼灸国家資格も取得済で東西の医療に通じた総合診療、消化器内科医を目指す。
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