【月一コラム みんなの台南生活】(12)びっくりエピソードトップ5

台南市日本人協会の会員より、毎月1回、台南生活コラムをお送りいたします

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【月一コラム みんなの台南生活】(12)びっくりエピソードトップ5
文/関口要

 台湾で日本語教師をしている関口です。私は非常勤先も含めるとこれまで計6つの大学で日本語を教えてきました。教師人生の中で本当にいろいろなできごとがありましたが、今回はその中で特に驚いたエピソードを5つ、皆さんにご紹介したいと思います。以下、第5位から順に書いていきます。

第5位:ペット
 大学で一人暮らしを始めるとその寂しさからかペットを飼う学生も少なくないようですが、ペットを連れて教室に来る学生もいたりします。しかも私が目にしたのは2回で、ウサギと子犬でした。ペットを教室に連れてきた学生達は授業が終わったらすぐ実家に帰るため、やむを得ずということでしたので、叱るわけにもいかず…。もちろん、授業中は授業の支障にならないよう、ペットはカゴに入れてもらいました。ちなみに、学校で飼われている犬(元野良犬)が授業中に教室にふらりと入ってきて寝そべるというのどかな学校もあります。

第4位:映像流出
 確かそれは学生会主催でのイベントだったと思います。そのイベント中に、目にした文字をジェスチャーで他人に伝えるというゲームの時間があり、私も「先生どうぞ」と半ば強制的に参加させられました。場を盛り上げるため、私はかなり大げさなアクションをし、笑いも取れました。そこまでは良かったのですが、なんとその恥ずかしいシーンが学生たちによってビデオに撮られ、ネット上に上げられてしまったのです。Facebookで学校関係者以外の多くの人にも見られたらしく、なんと妻のいとこから「ビデオ見たよ」とメッセージが来る始末。人前で余興をやる時はそうしたリスクもありますね。ああ、恥ずかしい。

第3位:台湾防衛の話
 これは授業中のエピソードです。その授業は会話で、学生はそれぞれ自分が考えてきたスピーチを発表する日でした。テーマは自由だったので、さまざまなテーマがありましたが、ある男子学生の番になると、彼は台湾の防衛力強化について熱く語り始めました。それだけなら特に問題はなかったのですが、その場に中国からの交換留学生が一人いました。そのため、私はかなりハラハラしながら聞いていました。授業は無事に終わりましたが、もし議論が白熱し、怒鳴り合いにでもなれば、やはり誰かにビデオに撮られ、それが世界のメディアを騒がせる可能性もあります。実際、過去にそうした事件がたびたび起きています。

第2位:元カノの話
 これも、授業中のスピーチでのできごとです。やはり自分で用意してきたスピーチを発表する授業でしたが、ある男子学生のスピーチの内容は、元カノと別れたエピソードでした。それだけなら自分の気持ちを整理するためにスピーチしたのかな、ぐらいで終わりそうですが、実は、その場にはその「元カノ」もいたのです。その男子学生は自分の気持ちを元カノに聞いてほしくて、わざわざスピーチにしたのかもしれませんが、クラスメートの多くも私も、二人の関係を知っていました。ですから、スピーチ中、教室には妙な空気が流れ、何とも気まずい数分間となりました。やはり一番気まずかったのは、その元カノだったでしょう。ここでも修羅場にならなくてよかったです。

第1位:カミングアウト
 最後も、学生によるスピーチ中でのできごとです。それはある男子学生によるスピーチでしたが、彼はなんと、スピーチ中に、「僕はゲイです」とカミングアウトし、その苦悩や自身の人生について語り始めたのです。まったく初耳でしたし、授業のスピーチでそうした発言が飛び出すとは思ってもいなかったので、本当に驚きのできごとでした。一方クラスメートたちは動揺することなく、彼の話に耳を傾けていました。台湾がアジアでLGBTに対し最も寛容な社会であることはよく知られるところですが、その一端を身をもって知ることとなりました。それにしても授業でカミングアウトした彼の勇気には感心させられます。ちなみに、女子学生同士のカップルはキャンパスでよく目にしました。

 いかがでしたでしょうか。台湾の大学で日本語を教える驚きと楽しさが少しでも伝わったら幸いです。また機会があれば、いろいろなエピソードをご紹介したいと思います。

文/関口 要 (せきぐち よう)
台湾在住22年、大学で日本語を教えている。日本人と台湾人との間に生まれた日台国際児への日本語教育支援活動にも力を入れている。台南市日本人協会常務理事。

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